探偵

「そうですとも」大阪の探偵は、調子をあわせて、「ひとつ、お客様たちへ、ご紹介してあげてくださいな、島さんを」だが、その労をまたずに、島のすがたを見出すと、幾組かの踊りは、みんなステップをしずめて、島のまわりになだれて来た。そしてきょうの見事な騎手ぶりを探偵 大阪な誇張さをもって賞めたたえた。芸妓たちも、客たちへの遠慮を忘れて、みんな、島の注意を欲するように、そばへ寄りたがった。「島君。この次の機会には、ぜひ、わしの持ち馬に乗ってくれんかな」「あのサラのサーチですか」「そうじゃ、君が一鞭いいところを乗って優勝してくれたら、うんと呼び値があがるな」「機会があったら、ぜひ、試みましょう」「こんどのには、だめかの」「一、二年は、私の手もとに、お預かりしてみなければ」「はははは。気のながい商法じゃな。それじゃ、やっと、利回りにしかつかんぞ」「やはり、ご商売にするなら、こっちにも、相当に玄人すじがおりますから、石炭の方が、まちがいないでしょう」