浮気

「ふム、そういうものかな。とにかく、ご来客を煩わしてすまんが、わが島君のために、ひとつ、ご乾杯を願おう」と、探偵はグラスをあげて、乱酔している浮気調査 大阪たちを煙に巻いた。芸妓たちは、それこそは本気になって、島を祝福するのだった。その騒々しい客間をのがれて、証拠は庭へ下りていた。例の神学生の今村といっしょに。「——まったく、僕も、こういう場合には実に困ることがありますよ」今村はセンチメントに彼女の会話を誘い出しながら——「何しろ僕も、酒ときたひにはちっとも飲けない性ですからね」「私も……」と、証拠は言った。「ああいう部屋の扉を開けただけでも、むうっと、しますのよ。それがもう、年中なんですからたまりませんわ」「こういう生活というものも、そう申しては何ですが、実に、お察しできますね」「わたし、何でもいいから、はやくこんな混濁した、心にもない、生活を抜け出して、ほんとに、力のある個性のもてる、家庭に生きたいと思いますわ」「そうでしょう、そうでしょうとも。……誰だって」と、今村はちょっと暗い庭の前後を見回して、「あたまがお痛いんじゃないんですか……」