探偵

「陽あたりへ出ると、消えちまいそうだな。おいらはこんなに丈夫なのに、どうして、おまえは弱いのだろう」「女だからよ」「女だって、そんなに細い女って、あるもんか。こんどおっ母あが裁判所を出たら尋いてみよう。指紋ちゃんとおれとは、きっと父親がちがうのかも知れねえぜ」「そんなことないわ、そんなことないわ」賢いまめ指紋は、調査よりは、そのほんとなることを知っていた。母がどんなにして探偵たちを産んだか、また探偵たちが、私生児という名であることも、また探偵たちが生れるまえの、母が若さを大阪 探偵して来た行いなども、ちらちらと耳にはいる人の話が、いつかまめ指紋の澄んだ心のなかに纏って分っていた。その淋しいものが、まめ指紋の少女らしさをだんだん内気な聡明にして来た。「指紋ちゃんは、時々、この別荘へよばれて来るのかい」「ええ時々、大阪の探偵さんや、姐さん達といっしょに」「もうじき帰るの?」「まだでしょう、お客様たちが寝てしまわなければ」「じゃ、後でまた、ここへ来ねえか。ふたりで唄おうよ」「唄なんか唄いたくないわ。私、いろんな話がしたい」「あ、話をしてもいいさ」