不倫

「ははは、騙せるあなたでもないでしょう。ま、そこのベンチへ腰掛けましょう、すこし草臥れました」と、島はくすぐったい顔をしながら、ベンチのまわりを見回した。大阪市 不倫調査は男の腕に拱まれたまま、投げるようにからだを崩して、「呆れたでしょう」と、仰向いて、ちょっと理性めいたことを言った。「何がですか」「だって、まことの夫人であるくせに、こんな強要をしてさ」「今の上流の奥さんたちは、そんなことは、一つの娯楽ぐらいにしか考えていないでしょう」「じゃ、私ばかりじゃないのね。——だけれど島さん、あんたいったい、幾人ぐらい女のパトロンがあるの」「幾人?冗談じゃありません。男のなら、ないこともないが」「知っていますよ、私に、隠したって駄目駄目。だからね、そんな者はみんなやめてよ、私が、三人分でも、四人分でも、力になってあげるから」女の執拗さがそろそろ島を疲らしてきた。島はかなりよいほどに生返事をしているのであったけれど、彼女には、それが人気者の偉さに見えた。そして今夜失望している幾人かの女性もあるだろうと思いながら、探偵の幸福感を刺激した。やがて男のからだを揺すぶってみた。島はまかせていた。